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本格中世風モンスターハンター小説(自称)をメインに、日常生活、趣味などに関するブログ。
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writer:イナ 2017-11-23(Thu)  
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指名手配の女 11
writer:イナ 2011-03-31(Thu) モンスターハンター小説 
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 ニノンによるシルヴィアの捜索が始まったが、フーゴとしても彼女の行方は気になった。

(もう一度、彼女と話がしてみたい。)

 フーゴは、時が経つにつれてその気持ちが大きくなることを感じていた。彼女にもう一度会い、改めて彼女本人の口から事情を聞きたいと思った。
 その上で、なんとかして彼女を保護してやりたいとすら感じた。彼女がウルタニアから消えた今、不思議と彼女に対する執着を感じるのだ。
 いてもたっても居られなくなったフーゴは、グラニコス兵長を呼び、秘密裏にシルヴィアの捜索隊を編成するように命じた。

(知らぬ間に惚れてしまったのかも知れないな。)

 胸が締め付けられるような苦しみに似た感情がふつふつと湧きあがって来ることを、フーゴは感じていた。少なくとも今までに感じたことのない、なんとも形容しがたい感情だった。
 グラニコスの編成した捜索隊は、すぐその日のうちに活動を始めたようであった。

 

 一隊がフーゴの下に知らせをもたらしたのは、それから数日後であった。
 しかし、それはフーゴが待ち望んでいたシルヴィア発見の報では無かった。

「十数匹のドスゲネポスに率いられたゲネポスの群れが、ゆっくりとこちらに向かって来ているようです。1週間を待たずにこの街に到達することでしょう。」

 フーゴの前に立つ大男、グラニコスがそう報告した。
 浅黒い褐色の肌に、後頭部でまとめた長髪には白いものが混じっている。それだけでも、この男が過ごしてきた年季を感じさせるには十分であった。

「ゲネポスの群れだと?数はどれくらいだ?」
「数百に上ることは確実かと思われます。」
「数百・・・。」

 フーゴは絶句した。
 ゲネポスは主に乾燥地帯に生息する、小型の肉食竜である。小型といっても背丈は大の男ほどあり、鋭い牙と爪には相手の身の自由を奪う毒腺を持っていた。
 この肉食竜には、時に人間も"獲物"となっていた。身のこなしも軽く、そこそこ腕の立つものでなければ相手をすることは難しい。
 それが更に強力なドスゲネポスに率いられて、数百も群れて来るというのである。
 ウルタニアは、危機にさらされていると言っても良かった。今ウルタニアに居る兵は、せいぜい500名程度で、この数のゲネポスを相手に正面から戦うことは不可能だった。
 この筋の専門家といえばハンターだが、それも、平和なこの街には2人しか居ない。

「まずは市民をすべて城壁の内に退避させ、固く城門を閉ざすのが先決かと。」

 グラニコスの提案は、至極まっとうなものだった。ウルタニアはその市街地を堅牢な城壁に守られた都市だが、城壁の外に住む者も多く居た。

「・・・そうしよう。すぐに兵たちの戦闘態勢も整えるようにしてくれ。
 それと、このことについて、他の者ともよく諮りたい。主だった者たちを呼んできてくれ。」
「はっ。」

 グラニコスは少し腰を曲げて礼をして、足早に公務室から立ち去った。

 すぐにウルタニアの重臣たちが集まり、会議が開かれた。
 会議の雰囲気は、重苦しいものだった。しかし、下手をすれば数千の死者を生むのだから、この雰囲気は当然のものであった。

 しばらくの沈黙の後、ある男がナスティ公に救援を頼むべきだと言った。それがどのような結果を招くのか、男も分からないで言った訳ではなかっただろう。
 王国への反意を抱いているナスティ公を頼るとなれば、当然、今後ウルタニアはナスティと共同路線を取らなければいけない。この地に反王国の旗幟を立てるのと同じであった。

 しかし、重臣たちはこぞってこの意見に賛成した。
 彼らにしてみれば、"ワラ"をも掴む思いでナスティ公を頼ろうというのだった。位置的にもウルタニアに一番近く、王国内でも屈指の実力者のナスティ公であれば、すぐに何かしらの救援行動を起こしてくれるだろう。
 そしてその気持ちはフーゴも同じであった。
 もっとも、彼の場合は他の重臣たちとは少し心境が違った。寡兵で敵に立ち向かうより心細さよりは、ウルタニア市民を守るためにも、ぜひともナスティ公の力を借りるべきだと感じていた。

「ナスティを頼るなどとは、なんと馬鹿馬鹿しい。」

 ナスティ公を頼ることに賛同の声が高まる中、筆頭重臣のモゼスが言い放った。
 その一言で、誰もが押し黙った。重臣たちの中には、この場においてもモゼスに楯突こうという者はいなかった。

「私もみなと同じ意見だ。
 王国を裏切ることにはなるかもしれないが、ウルタニアを守るためには背に腹は代えられないだろうと思う。」
「これはこれは、らしからぬ短慮でございますな、フーゴ殿。
 さてはあの、指名手配の女にでもたぶらかされましたかな。」

 モゼスの片頬が緩んだ。明らかに蔑意の籠もった笑みだった。

「何のことだ?」
「首都ペルシャナでは、フーゴ殿が裏で共和国側の女、シルヴィア・イルスティーンと繋がっていると、かねてより噂になっておりますぞ。
 よもや、それが真実ではないでしょうな?」

 重臣たちがざわめいた。
 フーゴは、モゼスの自分に対する明らかな悪意を感じた。この場において重臣たちを混乱させ、フーゴに対する信用を一挙に削ぎ落とそうとでもしているのだろう。

「モゼス、お前は・・・。」

 フーゴは、怒りで震えを感じた。
 モゼスはそのままの笑みでフーゴを一瞥した後、立ち上がって周囲を見渡した。

「みなのもの、フーゴ殿は卑しい女に騙され、正気を失っておられる。若さゆえの過ちであろうが、この緊急の時に判断を誤られては、フランツ家の名にも関わる。
 ここは、フーゴ殿には状況を静観していただき、このモゼスがウルタニア全権の委任を頂こうと思うが、どうだろうか。」

 しばらく重臣たちはざわめいていたが、次第にモゼスに賛成するものが現れた。それは波打つように全体に広がっていった。

 フーゴは、突然のモゼスの発言に言葉を失っていた。
 モゼスに対する敗北感も徐々に感じ始めていた。ウルタニアの政界内では若いフーゴの信用がいかに薄いもので、モゼスの持つ権力がいかに厚いものか、思い知らされたのだ。

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多趣味
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小説をメインに、色々書いていこうかと思います。基本、自己満足です。ネット上ではあんまり友達居ないんで、気軽に声かけてやってくださいw好きな作家は司馬遼太郎・村上春樹・塩野七生。カオスですねw
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