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本格中世風モンスターハンター小説(自称)をメインに、日常生活、趣味などに関するブログ。
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指名手配の女 20
writer:イナ 2011-04-28(Thu) モンスターハンター小説 
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 フーゴの前に立った"ドスゲネポス"は少しの間、こちらをなめまわすように眺めていた。そして、ゆっくりと右足を前に出す。
 その後突然に素早い動きとなって、鳴き声を上げながらこちらに噛み付いてきた。

―― ギャァァッ!

 フーゴは横に飛んだ。肩のすぐ横を、握り拳ほどある大きな犬歯がかすめていく。すんでの所で攻撃をかわした彼は、そのまま転がるように倒れこみ、すぐに手をついて立ち上がった。
 振り向くと、目の前に鋭い爪が迫っていた。反射的に尻もちをつくようにして避けると、そのすぐ後に頭上を爪が切り裂いた。
 持ちかけた剣は、既にどこかに落としてしまっていた。仰向けに倒れこんだ身を翻し、四つんばいになって必死にドスゲネポスの足の間から這い出た。
 一瞬の予断も許されない状況なのは、考えなくても分かった。少しでも行動に迷いがあれば、すぐに敵の餌食になってしまうだろう。フーゴは思考を完全に止め、直感に身を委ねていた。付き添いの兵士はこちらの危機に気づいてはいたが、彼もゲネポスと対峙しており、余裕があるわけではなかった。
 なかなか捕まらない獲物にイラついたような低い呻き声を上げたドスゲネポスは、すぐにこちらに向き直った。長い尻尾が大きく振れる。その眼は常にこちらを捉えて離さないように思えた。

(どうする?)

 距離を取ることに成功したフーゴは、ドスゲネポスの突き刺すような眼差しを見返しながら思考した。このまま東に逃げたのでは、市民も避難する地区に敵を導いてしまうことになるかもしれない。どこかで敵をまいてから逃げなければならなかった。

 ドスゲネポスは相変わらず呻き声を上げたまま、こちらとの間合いをはかっているようだった。
 いくら思考しても良案は浮かばなかった。俊敏な相手から逃げ切れる自信はない。額からはとめどなく汗が流れ落ちていたが、暑さというよりはむしろ震えるような寒さを感じた。

「お困りでしょうか?」

 背後、正門側から、この場にそぐわない女性の柔和な声が聞こえた。フーゴも、ドスゲネポスも、全く気配を発せずに現れた彼女に驚き、そちらを見た。
 そこにいたのは、白いワイシャツに赤いベストとフリル付きのスカートを身につけた女性――― ニノンだった。その右手には、2本の小剣が握られていた。真っ直ぐに伸びた美しい刀身が、鈍い月明かりに輝いている。

「君は、ここに居たのか!」
「ええ、そうです。
 お退きください。私が相手をいたしましょう。」

 凛とした眼差しに気圧されたフーゴは道を開けた。ドスゲネポスも彼女を警戒すべき敵として認識したようで、視線をそちらに移して低く構えている。
 フーゴの前に立った彼女は、両腕に剣を持ち替えた。その後姿をはっきりと捉えていられたのは、一時だけだった。跳躍した彼女は、反応する暇も与えないまま一瞬で距離を詰め、ドスゲネポスの首筋を切り裂いた。
 右手の剣から一太刀浴びせたかと思えば、次の瞬間にはひらりと回転し、左手からもう一撃を加える。その剣もよほどの切れ味を持っているのか、何の抵抗もなくドスゲネポスの皮膚の中へと入りこみ、綺麗な直線の切り口を作り出していた。

 フーゴは言葉を失ってその光景を眺めていた。戦いというよりは、「舞」を見ているような気分だった。舞と違うのは、徐々に彼女のワイシャツに赤いものが増えていくことと、舞の相手が反撃も許されずに苦しみの声をあげていることだった。
 やがてドサリと重い音がして、ドスゲネポスが地に崩れた。全身の傷や口からだくだくと血を流し、眼を見開いたまま絶命した敵に、フーゴは憐れみさえ感じた。
 ドスゲネポスの横に立ったニノンは、点々と返り血を付けた顔をこちらに向けた。

「フーゴ殿。船着場に私の仲間が十数人、待機しております。私達がこの街をお守りすることが出来ます。」
「本当か!それは助かる!!
 お願いだ、ウルタニアと市民を、ぜひ守ってくれ。」 
「それは、もちろんですわ。しかし交換条件があります。」
「・・・交換条件?」

 ニノンは改めてこちらに向き直り、ことさら真剣な眼差しでこちらを見た。

「シルヴィアを、こちらにお差し出しください。
 ためらいますか?フーゴ殿。この街の安全と、一人の女性と、どちらを取ればよいのかは、明晰で責任感に溢れるあなたならすぐにお分かりいただけますでしょう?」


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多趣味
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小説をメインに、色々書いていこうかと思います。基本、自己満足です。ネット上ではあんまり友達居ないんで、気軽に声かけてやってくださいw好きな作家は司馬遼太郎・村上春樹・塩野七生。カオスですねw
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